脈管学
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原著
閉塞性動脈硬化症における血中カルニチン濃度の意義
駒井 宏好深山 紀幸坂下 英樹山本 暢子進藤 俊哉荻野 均
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 56 巻 8 号 p. 103-108

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抄録

骨格筋代謝に関与するカルニチンの血中濃度を閉塞性動脈硬化症患者130例で測定した。アシルカルニチンと遊離カルニチンの比をカルニチン比とすると間歇性跛行群は0.26±0.13,重症下肢虚血群では0.42±0.22,透析例を除いてもそれぞれ0.24±0.10,0.31±0.14と有意に重症下肢虚血群で高値(それぞれp<0.01, 0.05)を示した。性別,糖尿病,脂質異常症,慢性維持透析,重症下肢虚血を説明変数として多変量解析を行ったところカルニチン比は慢性維持透析(p<0.001)と重症下肢虚血(p<0.01)で有意な因子と判明した。カルニチン比は閉塞性動脈硬化症の下肢虚血の程度を示す可能性があり,重症化判定のバイオマーカーとなりうることが示唆された。

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