2006 年 3 巻 3 号 p. 83-88
厚生労働省は 2001 年から,補完代替医療の利用実態調査に関する研究班(主任研究者・兵頭一之介・筑波大学)を組織し,全国のがん専門病院の患者を対象にアンケート調査を行なった.その結果,多くの患者が医療従事者に相談なく個人の判断でさまざまな補完代替医療を利用している現状が明らかとなった.そのため,2005 年に新たに研究班(主任研究者・住吉義光・四国がんセンター)が組織され,CAM の科学的検証と情報提供を主な研究目的として活動を開始した.その成果のひとつとして,2006 年 4 月に患者向けの「がんの補完代替医療ガイドブック」を作成し公表した.本稿では,このガイドブックに寄せられた意見や要望を取りまとめ報告するとともに,今後の改訂版作成に向けた課題についても論じる.