子どものこころと脳の発達
Online ISSN : 2435-8819
Print ISSN : 2185-1417
総説
自閉スペクトラム症児者の参加型アートワークショップ中の唾液中オキシトシンの変化―オンライン形式による実践の中間報告―
田中 早苗駒米 愛子辻 知陽
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2024 年 15 巻 1 号 p. 19-26

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抄録

自閉スペクトラム症(ASD)の子どもたちは,自己理解や他者理解の方法,相互コミュニケーションに特徴があり,社会適応に課題を抱えることがある.この課題への社会的処方箋として,Tanakaら(2020)は,参加型アートワークショップ(AWS)の効果に着目し,唾液中オキシトシンが生理的効果指標になり得る可能性を示した.本稿では,オンライン形式によるAWSを用いた神経内分泌学的反応の研究について,一部経過を報告する.粘土や描画など視覚的なアートを用いたオンラインでのAWSの前後と中盤に唾液を収集し,オキシトシンおよびコルチゾールの濃度を測定した.その結果,唾液オキシトシン濃度の上昇傾向と,コルチゾール濃度の低下傾向を捉えている.ASDにとってオンラインAWSへの参加は,少なくともストレスを減退させ,オンラインAWSの実施方法によって,オキシトシンの分泌が促進される可能性がある.

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© 2024 大阪大学大学院 大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学連合小児発達学研究科
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