日本油化学会誌
Online ISSN : 1884-1996
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西洋ワサビペルオキシダーゼを触媒とするオレンジIIの退色機構
森田 みゆき山口 江利子小松 恵美子伊藤 理恵上舘 民夫渡辺 寛人
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1999 年 48 巻 8 号 p. 793-800,816

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抄録
西洋ワサビ由来のペルオキシダーゼ (HRP) と過酸化水素 (H2O2) 共存下におけるオレンジIIの退色機構を検討した。チオール (RSH) はオレンジIIの退色速度を低下させる。オレンジIIの退色速度が増大し始める時間と, RSHが次第に減少し, 最後になくなってしまう時間が一致した。これらのことから, オレンジIIの退色反応はオレンジIIラジカルの生成を経由して進行することがわかった。次に, HRPの酸化状態の変化を測定することで, HRPの反応時間を求めた。HRPを用いた場合, オレンジIIの退色時間は2~3秒であったが, HRP-H2O2系の反応時間は60分であった。HPLCにより反応混合物から1, 2-ナフトキノンを分離した。したがって, これらのことから, HRP-H2O2系においては, オレンジIIは水素供与体としてHRP中間体に作用し, オレンジIIラジカルを生成し, さらに, オレンジIIの反応生成物はHRP中間体に水素供与体として作用することが明らかとなった。
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