臨床倫理
Online ISSN : 2435-0621
Print ISSN : 2187-6134
実践・事例報告
心肺蘇生後の治療方針を各学会の終末期医療ガイドラインに従って決定した維持血液透析患者の一例
藤倉 恵美宮崎 真理子
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2017 年 5 巻 p. 45-52

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抄録

【症例】 69歳男性.血液透析歴10年.X−2年10月に自宅で心肺停止となったが蘇生に成功した既往あり.

【現病歴】 X年3月透析前に意識消失し当院救命救急センターへ搬送された.到着時心肺停止状態であったが蘇生により心拍再開,補助循環装置を装着し冠動脈インターベンション施行後持続的血液濾過透析を開始した.循環動態は安定したが,臨床徴候,脳波や頭部CT所見から 「脳死とされうる状態」 1) と診断された.

【経過/考察】 救急・集中治療領域における終末期医療のガイドラインと透析医学会の治療見合わせに関する提言をもとに救急科,循環器内科,血液浄化療法部の各専門医による協議を行い,コメディカルスタッフや家族とともに治療方針を決定し腎代替療法を見合わせた.救急・集中治療領域と慢性透析領域における腎代替療法の位置づけや終末期の考え方の相違を理解し,多職種が共同して方針決定を行う過程が重要である事が示された症例であった.

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© 2017 日本臨床倫理学会
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