2019 年 7 巻 p. 81-88
日本においても倫理コンサルテーションは普及しつつあるが,実際にどのような事例が取り扱われているのかについては明らかではない。日本臨床倫理学会では2013年の第1回年次大会から毎回倫理コンサルテーションのセッションが設けられ,2018年の第6回大会までに28事例が検討された。それらを分析したところ意思決定能力が低下している事例が19事例,代諾者の不在が4事例あった。また,家族内の対立が6事例,本人・家族と医療・ケア提供者の対立が15事例,医療・ケア提供社内の対立が8事例に認められた。倫理コンサルテーションの対象となった医療行為やケアとしては,人口水分栄養補給と人口呼吸器を含む生命維持治療が14事例と半数を占めた。英米の施設からの報告ではより広範囲の事例が取り扱われており,年次大会の事例は一部しか反映していないと思われる。今後,日本臨床倫理学会が排出した臨床倫理認定士が自施設で行っている臨床倫理コンサルテーションを登録するなどして,全国規模のデータベースを構築することを提案する。