脳神経外科ジャーナル
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特集 神経外傷治療の可視化
外傷学における頭部外傷の位置づけ
—第28回日本外傷学会総会・学術集会から—
横田 裕行
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2014 年 23 巻 12 号 p. 942-950

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抄録

 重症頭部外傷は, 高い死亡率とさまざまな後遺症の可能性から外傷学の分野でも大きな位置付けがなされている. そのような中で, 頭部外傷を合併した多発外傷患者では体幹外傷を専門とする外傷医と脳神経外科医の密接な連携が必要となるが, 本邦における外傷治療は「防ぎ得る外傷死」の回避のための標準的治療と, 重症頭部外傷治療における治療と管理のガイドラインの発刊によって大きく進歩してきた. 一方, わが国の著明な高齢化社会を反映して高齢者頭部外傷の増加が大きな問題となっている. 高齢者頭部外傷は身体機能の低下, さまざまな既往症の存在から若年者に比較して予後が不良となる. このような背景から重症頭部外傷, 特に高齢者において病態把握の目的でさまざまな頭蓋内モニタリングやバイオマーカーの測定が行われている.
 以上のような頭部外傷の治療や管理の困難性の共通認識のもとに, 2014年に日本脳神経外傷学会総会・学術集会と日本外傷学会総会・学術集会でジョイントシンポジウムが企画された. このシンポジウムでは高齢者を含む頭部外傷患者の転帰を改善するための多くの課題や新しい試みなどが議論された.

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© 2014 日本脳神経外科コングレス
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