2018 年 27 巻 12 号 p. 882-888
くも膜下出血はいまだ予後の悪い疾患である. 一方現状では, 脳動脈瘤への直接的な治療介入は外科治療のみであることからアンメットメディカルニーズとなっている. 近年の検討から, マクロファージ依存的な慢性炎症反応が病態を制御することが示唆された. この成果をもとに, 動物実験では複数の抗炎症薬での脳動脈瘤の発生・進展抑制効果が, 臨床研究ではスタチン製剤などによるくも膜下出血発症抑制の可能性が示された. さらに, 多くの病変からマクロファージを指標とした炎症の強い危ない瘤を選別する診断法の可能性が示された. よって, 未破裂脳動脈瘤治療は病変ごとの活動性に基づく層別化と薬物治療法適用によりパラダイムシフトを迎えることが予想される.