2021 年 30 巻 10 号 p. 720-725
頭部外傷では, それぞれの患者の病態は異なり, 脳循環代謝は経時的に変化する. そのような患者に対して, モニタリング下に適切な治療を行う神経集中治療が注目されている. 神経集中治療の要点として, ①脳灌流圧/頭蓋内圧の管理, ②輸液/電解質の管理, ③呼吸管理, ④鎮静/鎮痛管理, ⑤体温管理, ⑥痙攣の管理が挙げられている. 近年, 神経集中治療の発展は著しい. 日常診療の中でも実践しやすいように, 頭蓋内圧モニタリングや脳組織酸素分圧を指標とした神経集中治療アルゴリズムが検討され転帰の改善を得ている. 日本においても, モニタリングを駆使した神経集中治療の普及により重症頭部外傷の転帰改善が期待される.