日本乳酸菌学会誌
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総説
乳酸菌株の個性を追いかけ 45 年
岡田 早苗
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2018 年 29 巻 1 号 p. 3-12

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抄録

著者が乳酸菌研究を始めた当時(1972 年頃)、植物質を原料とする発酵食品や発酵物試料から乳酸菌を分離する際や乳酸菌を同定する上で欠かせなかった乳酸の旋光性決定に困難さがあり、乳酸菌研究は非常に時間がかかるものという時代であった。当時これらが要因となり、多数の乳酸菌株を一時期に取り扱うことが困難な時代であった。著者はこれらの点を改善し、発酵食品などに生息する乳酸菌を幅広く扱えるようにしたと同時に、日本を含む東~東南アジアの国々(地域)での様々な伝統発酵食品(ほとんどが植物質を原料とする)に関わる乳酸菌の分離と収集をしてきた。これらの研究の中で、植物質環境は多様であり、そしてそれぞれの環境の中にいる乳酸菌の株レベルでの個性も多様であることを経験してきた。植物質を原料とし、乳酸菌による発酵を加えた新しい食品を模索するとき、乳酸菌の株レベルの個性が重要であることを明確にしてきた。また研究を続ける中で難分離の乳酸菌にも遭遇し、新たな分離法も考案した。この総説では乳酸菌の株レベルでの個性が応用利用を図る際に重要であることも示した。

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© 2018 日本乳酸菌学会
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