抄録
本研究では,2つの実験を通して,質判断(“見た”,“想像”)と時間判断(“1日目”,“2日目”)の時間経過に伴うソース帰属バイアスの変化について調べることを目的とした.実験1,実験2ともに1日目と2日目に視覚呈示,もしくはイメージ生成によってそれぞれ項目を学習した.実験1では,1日目には3回反復呈示し,2日目には1回のみの呈示であったのに対し,実験2では1日目も2日目もともに1回呈示のみであった.8日目にソース判断を行った結果,質判断では,実験1,実験2ともに“見た”より“想像”と答えるバイアスがかかっていた.しかし,時間判断においては実験1の視覚呈示条件のみ“1日目”への正答率が“2日目”への正答率よりも高くなったが,実験2では“1日目”,“2日目”ともにチャンスレベルになった.これらのことから,文脈情報をコントロールした状態で新規のものを学習する場合,質判断については記憶痕跡の弱いソースへと帰属させる判断バイアスが働く一方で,時間判断は時間経過とともに判断バイアスがなくなることが明らかになった.