認知心理学研究
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原著
記憶定着の規定因:統一的説明可能性の理論的・実験的検討
水野 りか
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2005 年 2 巻 1 号 p. 45-61

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抄録
人間の記憶の合理性と経済性から考えて,様々な知見における記憶促進の原因が互いに無関係で独立していると考えるのは不合理である.本研究では,まず,処理の深さ,処理資源量,符号化多様性と特定性といった記憶定着に関わる要因に関する研究を概観し,これらの要因がみな活性化という共通の概念で説明しうる可能性を示唆した.次に,精緻化,検索経路の強化,文脈の影響,分散効果に関する知見をこの概念で説明しうるか否かの理論的検討を行い,共通の規定因としての活性化量を提案した.そして,処理水準の活性化量による説明可能性を示唆する実験結果を紹介したうえで,新たに,維持・精緻化リハーサルによる再生率の違いもこれと同様に活性化量によって説明可能か否かを実験的に検討した.そしてこの考え方を支持する実験結果を得て,様々な認知活動における記憶促進の共通の規定因としての活性化量を提案した.
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© 2005 日本認知心理学会
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