2023 年 20 巻 2 号 p. 91-101
電気刺激や磁気刺激などの脳刺激技術を用いて脳活動と認知機能の因果関係を調べる試みが続けられている.本稿では,さまざまな脳刺激研究を概観することで認知心理学研究の展開を考えることを試みた.池田はtDCS(経頭蓋直流電気刺激)とワーキングメモリ変調の可能性について,澁澤はtACS(経頭蓋交流電気刺激)と知覚変調の可能性について,林はTMS(経頭蓋磁気刺激)と時間知覚変調の可能性について紹介する.これらの話題提供の後,田中による指定討論を受け,脳刺激研究の新たな視点と認知心理学における今後の展開について議論する.