認知心理学研究
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エピソード想起課題における検索過程の違いが気分一致記憶に及ぼす影響
野内 類兵藤 宗吉
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2008 年 6 巻 1 号 p. 75-83

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抄録

本研究では,Remember-Knowパラダイムを用いてエピソード想起課題における検索過程の違いが気分一致記憶に及ぼす影響を検討した.大学生60名が実験に参加した.参加者をポジティブ気分群とネガティブ気分群と音楽聴取を行わないニュートラル群に割り振った.各群の参加者には4秒間隔で刺激語が呈示された.刺激語は快語30語と不快語30語の形容詞を使用した.参加者は刺激語から自伝的記憶もしくは母親のエピソードが思い出せるの(Remember)か,わかるだけ(Know)か,想起できないか(Not)の判断を行った.実験の結果,刺激語の再生率では,回想を伴う意識的検索において自伝想起課題でも他者エピソード想起課題でも気分一致記憶が得られた.このことから気分一致記憶の生起には,学習時に回想を伴う意識的検索が重要であることが示された.

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© 2008 日本認知心理学会
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