日本大腸肛門病学会雑誌
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内科的治療が奏効したFecalomaの1例
堀江 泰夫千葉 満郎太田 弘昌五十嵐 潔荒川 弘道正宗 研
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1987 年 40 巻 1 号 p. 31-35

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抄録
症例は44歳女性,主訴は残便感,腹部不快感.24歳で長女出産後軽度,便秘傾向あり,時々市販の浣腸液や緩下剤を使用していた.昭和60年9月中旬,残便感,腹部不快感が出現,次第に症状増悪し尿閉もみられた,9月下旬,某医で加療されたが約1カ月間症状が持続したため当科外来を受診した.大腸X線,内視鏡検査により直腸S状結腸移行部に糞塊を確認し大腸糞瘤と診断した.入院後,dioctyl sodium sulfosuccinate, casanthranol(Bulkosol)の経口投与,carboxymethylcellulose sodium(Bulkose)の注腸で入院8日目に糞瘤の排出がみられた.大腸糞瘤の本邦報告例は過去30年間で8例のみで,いずれも手術,用手摘便,浣腸により治療されており,本例のように薬剤が奏功した例の報告はない.大腸糞瘤で腸管の完全閉塞がないとき,本治療法は積極的に試みられるべきものと考えられた.
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