作物研究
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総説(シンポジウム)
リモートセンシングとシミュレーションモデルの融合による栽培支援の展望
本間 香貴牧 雅康橋本 直之
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2018 年 63 巻 p. 43-48

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抄録

シミュレーションモデルとリモートセンシングはともに70年代より盛んに研究が行われ,直ぐにでも実用化されるような印象を受けながらもなかなかその域に達していない技術と考えられる.本論文では最近の研究動向にも触れながら,問題点と今後の展望について論じた.作物の生育・収量を予測するシミュレーションモデルは温暖化環境下における将来予測などにおいて一定の成果をおさめており,栽培支援については海外において製品化されたプロダクトなどはあるものの,一般的なツールとはなりえていない.これはインプットデータに多大な労力を必要としていたり,アウトプットが既知の知識の範囲にとどまっていたりするためであると考えられる.一方,リモートセンシングは近年になってUAV(Unmanned Air Vehicle)の技術開発および低価格化が進み,農家にとっても手の出せるものとなりつつあるが,基本的に空から写真を写す用途以上のものは提案できていない.これにはどのような栽培支援が必要で,そのためにどのようなデータが必要か,構想を明確にした技術開発が必要であると考えられる.著者らは東南アジアの農家圃場を中心にリモートセンシングやシミュレーションモデル,あるいはそれらの融合に関する研究を行い,農家の栽培管理や気候変動の影響評価を行ってきた.現在仙台において東日本大震災後に新規就農した農業法人の大区画化された圃場を対象に,栽培支援技術の開発を行っているところである.ディープラーニングなどの機械学習の進化によって,画像やマスデータからの情報の読み取り技術は今後ますます進化すると思われる.しかしながらノンパラメトリックモデルなどのデータ依存型モデルによる成果から類推すると,それだけでは既知を超える情報を得ることは難しいと思われる.シミュレーションモデルなどによる方向性を持たせた解析が必要であると考えている.

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© 2018 近畿作物・育種研究会
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