抄録
平成20年学習指導要領で持続可能な社会の構築に向けて,ESD の視点をもつ教育の充実が図られている。本研究では,まず,平成20年中学校学習指導要領家庭分野衣生活領域の教育内容をESD の視点で捉え直し,構造化を試みた。これを基に洗濯の学習を再構築し,授業を開発し,実践した。この授業は,従来の洗濯の学習に,持続性概念と環境を捉える視点として,水環境や水資源の「有限性」,「循環」,「保全」を加え,生徒が自分の生活行為である洗濯と環境との関係から,ESD の視点をもったものの見方,考え方を知ることを目的とした。授業実践の結果は,①生徒の持続性概念(環境保全)の獲得が期待されるものであった。②洗剤の選定においては,平成10年学習指導要領のもとで実践した授業の結果と比較して,持続性概念(環境保全)の視点をもった意思決定が行われていた。今後は,持続可能な衣生活を営んでいくうえで,生徒が衣生活をより体系的に探究することができるように,必要な内容を開発し,授業改善を進めていく。