抄録
学校の体育授業においては,課題を次々と達成し運動技能を上達させる学習者がいる一方で,なかなか技能を上達させることができない学習者がいる。そのような学習者は運動不振と呼ばれるが,彼(彼女)らの技能を上達させることは体育・スポーツ指導者の重要な課題の1つである。本研究では,運動不振を呈する大学生を判定する尺度を開発するために2つの調査を行った。最初の調査では,大学生版運動不振尺度の質問項目を作成・選択し,尺度構成を行うことが目的であった。312名の大学生を対象に質問紙調査を実施した。外的基準との相関に基づいて,本尺度に使用される質問項目は8つに絞り込まれ,因子分析の結果,「身体操作力」と「ボール操作力」の2つの因子(下位尺度)から構成されることが明らかとなった。これらの下位尺度と外的基準との間に比較的強い相関が認められたため,本尺度は十分な基準関連妥当性をもつと考えられた。第2の調査では,77名の大学生を対象に,大学生版運動不振尺度を2回実施した。1回目と2回目の得点間の関連を分析した結果,全体としてはr=0.8を超える相関が認められたため,本尺度は十分な信頼性をもつと考えられた。以上のことから,本研究において開発した大学生版運動不振尺度は妥当性と信頼性を備えていると考えられる。