日本教科教育学会誌
Online ISSN : 2424-1784
Print ISSN : 0288-0334
ISSN-L : 0288-0334
中国語を第一言語とする日本語学習者の作文に対する日本語教師の評価
― 一般化可能性理論を用いた検討 ―
福田 純也石井 雄隆
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 39 巻 2 号 p. 81-89

詳細
抄録
本研究は,中国語を第一言語とする日本語学習者の作文に対する日本語教師の評価を一般化可能性理論によって検討した。一般化可能性理論とは,相関係数や信頼性係数のみでは検討することができない,評価の際に影響する要因の複合的な影響を統計的に検証するための枠組みである。その結果により,どのような要因が評価の変動に対して強い影響を与えるのか,さらにどのくらいの人数を評定者とした場合に十分な信頼性が得られるのかを検討した。調査では,日本語教育を専門とし,教育歴が3年以上の日本語教師8名と,日本語教育を大学院で専門として日本語教師を目指す大学生・大学院生7名に,学習者16人のエッセイを評価することを依頼した。結果として,適切なトレーニングなしに高い信頼性を持って学習者の作文評価を行うことは,経験が豊富な日本語教師でも困難であることが示唆された。本結果は,経験によって信頼性の高い評価ができるようになるという日本の英語教師を対象とした先行研究結果とは異なるものであった。本研究結果は,大学生・大学院生と経験の豊富な日本語教師が異なる点に着目し評価を行っている可能性や,用いられるトレイトの解釈が教師経験によって異なる可能性があることなどを示唆している。またこれらの結果を以って,今後行うべき研究の方向性を考察した。
著者関連情報
© 2016 日本教科教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top