抄録
本研究の目的はペルーのナショナル・カリキュラムにおける初等・中等体育カリキュラムの教科内容編成にみられる特徴および課題を明らかにすることである。分析対象はペルーの学習指導要領にあたるナショナル・カリキュラム(DCN)とした。その結果,体育の教科内容は主にコンピテンシー論に基づいて編成されていることが明らかとなり,内容(領域)編成においては文脈依存的な学力観に依拠しつつ,体育固有の文脈(学習領域)として①身体・健康領域②運動技能領域③他者理解・社会性領域の3領域で編成されていることが特徴的であった。一方で,内容編成論が明瞭でなく,目標と内容が逆転して記述されるなどの理論的矛盾や,発展性(シーケンス)が単線的であるなどの課題が明らかとなった。