日本作物学会紀事
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品種・遺伝資源
二条オオムギ品種における近縁係数と分子マーカーから推定した遺伝的距離との関係
内村 要介古庄 雅彦吉田 智彦
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2004 年 73 巻 4 号 p. 410-415

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抄録

品種間の遺伝的関係を明らかにするには,品種の家系図から統計的に算出する品種間の近縁係数と,分子マーカーで検出したDNA多型の検出率による品種間の遺伝的相似度がある.遺伝的相似度を表すため,本研究ではDNA多型の検出率からみたユークリッド距離と根井の遺伝的距離Dを計算した.二条オオムギで,国内で近年主に栽培されている22品種について解析した結果,近縁係数と遺伝的距離との間にはr=-0.526~-0.650の相関が認められた.従って,近縁係数は,両親から半分ずつの遺伝物質を確率的に受け継ぐとして算出するが,この値は品種間のDNA多型の検出率を基にした遺伝的相似度からもある程度裏付けされた.また一方で,今回用いた分子マーカーで検出した染色体上の領域は,品種育成の過程で後代にほぼ均等に分離していったと考えられる.

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© 2004 日本作物学会
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