抄録
今回われわれは,PET検査にて脊椎および骨盤骨髄にびまん性のFDG集積を認めたG-CSF産生上顎歯肉癌症例を経験したので報告する。患者は64歳男性。左側上顎歯肉腫瘤を主訴に当科を受診した。生検にて上顎歯肉扁平上皮癌と診断された。白血球および血清G-CSF値の著明な上昇と,FDG-PET検査にて,脊椎および骨盤骨髄にびまん性のFDG集積を認めた。G-CSF産生腫瘍の疑いで手術を施行したところ,術後に白血球,血清G-CSF値とも速やかに低下した。術後5か月で頸部再発を認め,術後11か月で死亡した。FDG-PET所見はG-CSF産生腫瘍の診断の一助になると考えられた。