日本作物学会紀事
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栽培
水田栽培がケナフ(Hibiscus cannabinus L.)の生育に及ぼす影響
志水 勝好加藤 盛夫
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2011 年 80 巻 4 号 p. 420-425

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抄録

水田条件と畑地条件でケナフを栽培し,その生育反応を比較することで,水田条件下でのケナフ栽培の可能性を検討することを目的とした.ケナフ栽培は筑波大学農林技術センターにおいて2006年および2007年に行った.ケナフ(品種:Everglades 41)を,6月上旬に水田と畑圃場に移植した.株間15 cm,条間30 cmとし,試験区として2 m×5 mを水田,畑地各3反復設けた.水田では同じ区画で飼料用水稲品種クサホナミ,雌性不稔系統 FS—1を栽培し,登熟中期まで湛水とした.茎葉生長初期(7月下旬),茎葉生長中期(8月下旬),茎葉生長後期(9月下旬),霜枯れ期(11月下旬)にサンプリングを行った.水田栽培のケナフは畑地栽培に比較して生育は劣っていたが,播種後100日目以降は,2006年,2007年ともに畑地条件のケナフの生長が緩慢になったのに対し,水田条件のケナフはさらに生長を続けていた.落水後に生育速度が高くなったこと,畑地条件に比べて残存葉数が多く,霜枯れ期まで生育が見られることから,水田で栽培する際にケナフに適した水管理を適切に行うことによって畑地条件に近い生長量に高められる可能性が考えられた.

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© 2011 日本作物学会
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