2020 年 89 巻 2 号 p. 102-109
業務・加工用水稲多収品種「あきだわら」,「やまだわら」,「とよめき」について,収量特性を明らかにするとともに,多収と高品質の両立が可能となる収穫時期を検討した.「あきだわら」,「やまだわら」,「とよめき」の収量は2ヵ年平均で783–808 kg/10aとなり,主食用品種「コシヒカリ」より約1.6倍多収だった.また,これら3品種は,「コシヒカリ」よりm2当たり籾数が多かった.「あきだわら」,「やまだわら」,「とよめき」では,整粒歩合が70%以上かつ籾水分が25%以下となる出穂後積算気温の範囲は,それぞれ1115–1393,1247–1441,1171–1480℃・日だった.これ以降の登熟歩合の増加程度は小さかったため,この範囲が収穫適期と考えられた.また収穫時期の判断基準の1つである黄化籾率は,「あきだわら」,「やまだわら」,「とよめき」では,それぞれ88–95,87–94,82–92%だった.