日本作物学会紀事
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品種・遺伝資源
皮性二条オオムギ「はるか二条」における黄色粒の発生要因と種子品質に及ぼす影響
原口 雄飛轟 貴智甲斐 浩臣
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2020 年 89 巻 2 号 p. 126-133

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抄録

福岡県内の「はるか二条」採種圃場において2017年に発生した強い黄色を呈する穀粒(黄色粒)は,被害粒である退色粒とは穀皮色相の特徴が異なり,その発生要因と種子品質に及ぼす影響は不明であった.このため,黄色粒の発生要因と種子品質関連形質を調査した.その結果,成熟期~収穫直前に2.5 mmの降雨に遭遇した生産物は外観で黄色粒と判断され,その穀皮の色相はL*値(明度)が低下し,a*値(赤み程度)及びb*値(黄色み程度)が上昇していた.出穂以降,降雨に遭遇していない成熟期の切り穂を高湿条件で2日間処理した場合にも色相変化について同様の傾向が確認された.また,「はるか二条」は他の県内普及二条オオムギ品種と比較してa*値及びb*値が増加しやすい傾向を示した.さらに,黄色粒の発芽率,千粒重及び種子休眠性は通常粒と比較していずれも劣ることは無かった.以上の結果から,「はるか二条」の黄色粒の発生は成熟期~収穫期のわずかな降雨に起因すると推定されるものの,これによる黄化は種子品質関連形質には影響を及ぼさないことが明らかになった.

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© 2020 日本作物学会
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