日本作物学会紀事
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稲属の感光性 : 第5報 短日処理による促進程度の表示方法に関する研究
片山 忠夫
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1975 年 44 巻 3 号 p. 236-242

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抄録
短日処理回数と促進程度を調査し, 促進度の表示方法を考案する目的で, 低緯度地方に分布する材料を主として用いて実験を行なつた. 稲属8種55系統を用い, 60日令より12時間30分明期下で5, 10, 15, 20, 25および30日間短日処理を行なつた. 感光性を示す最少処理日数に基いて6群に分類された. 分類学上から, O. sativa var. spontanea と O. perennis の約2/3の系統が5日間処理で反応を示すのに反し, O. officinalis の4/5の系統が15日間処理で反応し始めるのが注目された. 一般に低緯度地方に分布する系統はこの日数が多い傾向を示した. 対照区, 処理6区の間で示される反応の違いを5%1.s.d.の値を用いて30群に分類された. 一般に低緯度地方に分布する系統は処理日数を増加すると有意に促進される. また詳細に全処理区を通じて出穂促進の程度に応じてパターンを7群に再分類された. O. sativa var. spontanea と O. perennis のみが示すパターンが見出された. このように, 花芽分化に必要な短日最少日数, 処理日数増加に伴う促進の傾向とその程度は, 系統によつて, また種によつてかなり異なり, これらの因子は感光性表示の方法として有効であることが分かつた.
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