抄録
作物の葉身傾斜角や葉面方向は光合成の受光態勢と関連して,物質生産にとり重要な要因である. そこで茶葉の葉面方向に及ばす青色光および澄-赤色光の効果について検討した. 1) 白色光から500nm以下を除去した照明下(-VB光)あるいは暗黒下に置かれた1年生幼木に,さらに横から第1図に示す青色光,赤色光および-VB光を照射した. 葉はその葉面方向により90度ずつに分類し,光源の方向をbとすると,青色光で照射した場合に,光源の方向に向く葉がふえbの割合が増加した. -VB光でも多少のbの割合の増加は見られたが,赤色光は効果を示さなかった. 2) この青色光に対する茶葉の反応は照射光の強度と照射時間に比例して増加したが,最大の反応を起こすためには,少なくとも15Wm-2以上の光強度で48時間以上の照射が必要であった. 3) 一方,この反応は-VB光で可逆的に阻害されたが,青色光を12日以上照射することにより,反応は不可逆的となり,葉面方向はほとんど変化しなかった. 阻害反応に対する反応スペクトル(560~680nm)をみたところ,600nmにひとつのピークを示すことがわかった. これらより,青色光および橙一赤色光の光強度を変えることによって茶葉の葉面方向を制御しうる可能性がある.