抄録
多収性を追求する上で, 同化生産能力を高めることは重要であるが, 一方で, 同化産物を効率よく子実へ分配することも重要である. 莢実重に占める莢重の割合は30%前後もあり, 同化産物の子実への分配効率の向上を図る観点がら, 莢は軽視できない形質である. 莢重に対する粒重の比(粒莢重比)に及ぼす根, 葉及び莢の効果について, 粒莢重比に特徴のある4品種を供試し, 相互に穂木及び台木に用いて, 接木処理及び摘莢・摘葉処理を行い検討した. 粒莢重比は台木品種の特性に係わりなく, 穂木が粒莢重比の高い品種の場合高くなり, 粒莢重比が低い品種の場合低くなった(第2表). すなわち, 粒莢重比には主として穂木品種の特性が発現した. 一方, 台木は莢重に効果があリ (第3表), その結果, 粒莢重比が僅かに変動した. 粒莢重比に及ぼす穂木の葉及び莢のうち, 主に莢の効果が発現し(第4表), 葉は莢重に影響した(第5表). すなわち, 莢は粒莢重比に, 葉及び根は莢重に影響した. 以上の結果, 粒莢重比の高低要因は基本的には莢自身にあり, 同化産物の子実への分配効率の向上を目的とした選抜は, 莢を対象に粒莢重比の高低で行うことが必要である.