日本作物学会紀事
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圃場条件下における水稲個葉の光合成の実態とその解析 : 第7報 光合成の個葉間変異ならびに時刻の進みに伴う個葉光合成の低下に対する気孔伝導度の真の寄与程度の評価
黒田 栄喜玖村 敦彦
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1990 年 59 巻 1 号 p. 125-129

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抄録
著者らは, さきに, 個葉光合成速度 (CER) の個葉間変異および時刻の進みに伴う低下が気孔伝導度 (gs) の変動と密接な相関を示すことを報告した。しかし, gsが葉肉の光合成活性と並行的に変化する場合には, たとえ葉肉の活性がこの種のCERの変動の主要因であるとしても, gsとCERとの間には密接な正の相関が成立しうる。このような場合には, あたかもgsがCERの変動をもたらす唯一あるいは主要な要因のようにみえるであろう。本研究の目的は, 葉の外囲空気の加湿処理が葉肉の光合成活性に影響せずgsだけを増加させるとの仮定に立ち, CERの上記のような変動に対するgsの真の貢献度を評価することである。結論は次の通りである1) 止葉におけるCERの個葉間変異の半分は真にgsの変異によりひきおこされ, 残りの半分はgsと並行的に変動するところの葉肉の光合成活性の変異によりもたらされる。2) 時刻の進みに伴うCERの低下は主にgsの低下によりひきおこされるが, 若干の部分は葉肉の光合成活性の低下にもとづく。
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