日本透析医学会雑誌
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症例報告
壊疽切断肢にコレステロール塞栓症を認めた維持血液透析患者の1例
杉本 俊郎向瀬 督金崎 啓造牧石 徹也高谷 季穂荒木 久澄宗村 万里子出路 奈緒子平田 邦夫中澤 純一色 啓二金崎 雅美川添 智道宇津 貴岡田 裕作
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2007 年 40 巻 2 号 p. 189-193

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抄録
症例は, 脳梗塞, 左片麻痺, 腹部大動脈瘤の既往を認める, 62歳の血液透析施行中の男性. 61歳時, 心不全・腎不全のため血液透析導入. 透析導入約6か月後に, 左足趾潰瘍を認めたため入院となった. 画像診断にて, 下肢の動脈の閉塞を認め, 閉塞性動脈硬化症による足趾の潰瘍と診断, 左側膝下切断術を施行した. しかし, 切断した足趾の病理検査にて, 血管内にコレステロールの針状結晶を認め, コレステロール塞栓症の合併も認めた. よって, 透析時の抗凝固薬を低分子ヘパリンから, メシル酸ナファモスタットに変更して退院となった. 維持血液透析患者は, 動脈硬化病変の強い症例が多く, かつ, 透析施行の度に抗凝固薬を投与することから, コレステロール塞栓症の発症・再発のリスクが高いと考えられ, 下肢の末梢循環不全の発症をみたときは, 単純に閉塞性動脈硬化症によるものと判断せず, 本例のようなコレステロール塞栓症の合併も考える必要があると考えられた.
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© 2007 一般社団法人 日本透析医学会
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