日本作物学会紀事
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水稲の上位葉における葉器官の短縮化と登熟との関連について : 第1報 葉身, 葉舌, 葉鞘および葉耳の短縮化について
牧野 盛行
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1992 年 61 巻 4 号 p. 555-560

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抄録
水稲品種コシヒカリの主稈の葉耳遊離部は, 葉位上昇につれ順次長くなり, 止葉(I葉)から下へ数えてIV葉で最長となる. しかし, 止葉の下位III葉からは逆に短くなりはじめ下位II葉でざらに短くなり, 止葉に至っては葉耳遊離部はみられなくなる. 著者は, 上位葉における葉耳遊離部が最初に短くなる葉位の葉を葉耳短縮化第1葉と呼称する. 同様の短縮化が, 葉身, 葉舌, 葉鞘にもみられた. これら4葉器官のうち, 葉耳の短縮化第1葉位は最下葉位で現れ, 穂肥適期(葉齢指数90~92)よりも前に確認でき, 穂肥の適期をこれによって予見できる. さらに発芽後の各葉位について葉器官の形態変化を調べ, (1)葉耳短縮化第1葉の出葉期と節間伸長開始期とは近接すること, (2)葉耳短縮化第1葉での葉耳短縮化が確認された時点から穂肥適期(葉齢指数90~92)までの期間は, 品種によって異なるが, 日本晴では葉齢で0.60~0.90, 日数で4~5日であることなどを明らかにした.
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