抄録
NADP-ME型C4単子葉植物であるトウモロコシと, 同型のC4双子葉植物であるマツバボタンについて, グラナの重なり (スタッキング) に注目して葉緑体の発達過程を観察した. 両植物種において, 維管束鞘葉緑体では1グラナを形成するチラコイド数の平均値は, 葉緑体発達過程を通して3末満に抑えられていたのに対し, 葉肉葉緑体では発達にともない徐々に増大した. したがって, 系統発生的に異なる2種類のNADP-ME型C4植物において, 維管束鞘緑体ではグラナの発達は共に葉緑体発達初期から抑えられていると考えられた.