日本作物学会紀事
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ダイズ品種における光合成速度の日変化と収量との関係
国分 牧衛島田 信二
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キーワード: 光合成, 収量, ダイズ, 日変化
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1994 年 63 巻 2 号 p. 305-312

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抄録
ダイズ個葉のみかけの光合成速度(AP)は, 晴天日には光強度が十分であるにもかかわらず日中低下することが知られているが, この現象がダイズの収量にどのように関係しているかは不明である. 本研究では, 収量性の異なるダイズ品種を圃場条件で3年間(1990年:9品種, 1991年10品種, 1992年10品種)栽培し, APの午前の値(APam, 10時頃に測定), 午後の値(APpm, 14時頃に測定), 日平均値([APam+APpm]/2)あるいは午後の低下程度(APdec, APpm/APam, %)を測定し, これらのパラメーターと生長速度および収量との関係を解析した. APam, APpm, 日平均値及びAPdecには, 年次や測定日による変動はあるものの, 有意な品種間差がみられ, それらの品種間順位は慨ね安定していた. APam, APpm, 日平均値及びAPdecのいずれのパラメーターも, 生長速度及び収量と明瞭な相関関係になかった. しかし, 各品種におけるAPdecと収量の年次間変動はよく対応していた. 本研究の結果は, 日中の光合成速度の低下を軽減することは, ダイズ品種の収量安定性に寄与することを示唆している.
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