抄録
野生型と塊茎収量の高い都城在来型の2種のキクイモを用いて, キクイモの塊茎形成を制御する内生要因について検討した. 葉に含まれる塊茎形成促進物質を, バレイショ塊茎形成活性検定法を用いて追求した結果, ジャスモン酸(JA)が単離・同定された. 生育初期の都城在来型の葉中のJA含量は野生型のものよリ7倍程高く(4.0×10-6l mol・kg生重-1), 植物体の生育に伴って急激な減少を示した. これに対し, 水溶性分画に含まれるJA誘導体と見られる活性は生育と共に増加し, 地下部における塊茎形成開始時にやや遅れて最大となり以降は減少を示した. 野生型のJA類の葉中の含量はかなり低く推移したが, 全体としての消長はほぼ同様であった. この2種のキクイモの茎断片にJAを与えて培養したところ, JAは強い塊茎形成活性を示した. これらの結果はキクイモの塊茎形成はJA類によって制御されていることを示唆している. 葉で合成されたJAは水溶性の誘導体に変化した後, 地下部へと送られ塊茎形成を誘起するものと考えられる.