日本作物学会紀事
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機械摘み茶園における新芽の収量, 全窒素, 遊離アミノ酸および粗繊維含有率の層別解析
中野 敬之森田 明雄谷 博司鈴木 則夫
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1996 年 65 巻 4 号 p. 612-617

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抄録

機械摘み茶園において, 茶株面から生育する新芽について茎葉別の収量と全窒素, 粗繊維および遊離アミノ酸含有率を層別に調査した. 1992年一番茶生育期の4月28日から5月8日までの4時期に, 新芽葉層の最上位から1cmづつ摘採面を順次下げながら軌条走行式摘採機により摘採し, 幅1cmの層別に新芽を刈り取った. 各層について調査した結果, 葉と茎の収量は前回整枝面に近い下層で大きく, 上層ほど小さかった. 全窒素含有率は, 前回整枝面から8cmまでは上層ほど高かったが, それより上では低下, もしくは差がなかった. 粗織維含有率は上層ほど低かった. 遊離アミノ酸含有率は, 5月4日以前では葉層の中間部で最も高かったが, 5月8日になると上層ほど高かった. 得られた層別の結果から, 調査日別に摘採の高さと収量および化学成分含有率との関係を求め, 収穫が遅れても茶の品質を低下させない方法について検討した. その結果, 5月8日に5月4日と同じく前回整枝面と同じ高さで摘採すると収量は増加したが, 新芽の全窒素, 遊離アミノ酸含有率は低下し, 粗繊維含有率は増加した. しかし, 5月8日に摘採面を2~4cm上げることによって, これら化学成分の含有率を5月4日と同じ水準に維持できた.

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