日本作物学会紀事
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水稲の籾比重と玄米形質との関係
姚 友礼山本 由徳新田 洋司王 余龍呉 華吉田 徹志宮崎 彰蔡 建中
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2000 年 69 巻 1 号 p. 54-60

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抄録

水稲精籾(比重1.00以上の籾)及び玄米の諸形質と精籾重との関係を明らかにするために, 中国産4品種(インド型及び日本型普通品種とインド型及び日印交雑ハイブリットライス各1品種, 全て粳種)の精籾を比重法で階級別に分け、形態形質を測定した.精籾1粒重の重い品種は比重の高い側に局在分布したが, 粒重の軽い品種は比重の低い側に分散分布した.各品種ともすべての形態形質について玄米の変動係数は精籾より大きかったことから, 籾のサイズが決定された後に発育する玄米の形態変異は, より多きいことが分かった.玄米の厚さはすべての品種において玄米体積を支配する第一の形質であり, 他の形質(長さと幅)の影響程度は品種によって異なった.玄米の体積が増加するほど, 精籾体積のみならず, 精籾比重と精籾重も増加し, 籾摺り歩合も高くなった.籾穀重と精籾重とは供試4品種中2品種が有意な正の相関関係を示したが, 残りの2品種では有意な相関はみられなかった.以上の結果から, 籾の比重は粒重と密接な関係があり, 精籾重は玄米の体積に, また玄米の体積は厚さに主に支配され, 籾穀が玄米の発育や登熟に及ぼす影響には品種間差異が存在すると推定された.

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