抄録
これまでに我々は,遮光眼鏡装用時の色覚特性について,色弁別および色の分類特性の観点から評価を行ってきた.今回は,これらの結果を用いて弁別特性と分類特性の対応について検討する.若年者を対象に,色弁別特性については眼科検査で用いられる,仮性同色表3種(石原表,TMC表,Lanthony tritan plates),色相配列検査3種(panel D-15, Lanthony desaturated 15-hue test, 100-hue test),及び色の確認表で測定した.また色の分類特性については,マンセル色票333枚を一枚ずつ提示し,基本色名にて応答する測定を行った.
弁別特性を示す色覚検査で,3型色覚から1, 2型色覚を示す傾向が遮光眼鏡の種類により見られたが,その際の色の分類では,色覚検査の成績に応じた,応答の一致率の変化や,応答色カテゴリー数の変化が見られた.このことは,色弁別と色分類の特性には,関連があることを直接示すと考えられ,遮光眼鏡装用時の色覚特性を検討する際に,色弁別を評価に用いる色覚検査の結果から,色の分類特性を推測できることを示唆するものである.