抄録
雑誌やカタログ上の写真画像で物体の色彩を見た時と,実空間の中でそれを見た時とでは異なる色彩に感じることがあり,池田らはこの現象を照明認識視空間という概念で説明している.我々は,D-up Viewer無しと有りの2条件で色の見えを目視評価して比較したところ,後者の方がMunsell Chromaが高くなる傾向があり,表面色が青み系の場合にはその差が小さいなどの結果も見られ,対象物の色相に応じて差が異なる可能性が示唆された.そこで今回,D-up Viewerの有無により対象物の色の見え,特にChromaにどのように差が生じるか,2条件で続けて観察し相対評価した.対象物の色相に応じて差が異なる可能性を調べるため,実験刺激は25種類のカラーバリエーションを用意した.その結果,D-up Viewer使用時はChromaが正方向に高まり,対象色が低明度,高彩度になるほど見えの差が大きくなることが確認された.さらに,色の3要素の中では対象物に明度変化を与えた場合に最も見えの差がでることも明らかになった.今後は色相の種類を増やして色相依存性をさらに詳しく調べたい.