日本色彩学会誌
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シーンの色分布を手掛かりとして照明変動を補正した色情報による人物追跡
辻本 晃大土居 元紀
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2017 年 41 巻 6+ 号 p. 47-49

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抄録

 監視カメラによるセキュリティなど,人物追跡は重要な課題である.複数の人物が映り込んだ場面を想定すると,衣服の色情報が対象となる人物を識別する有力な手掛かりとなる.しかし,照明変動がある場合や照明環境の異なる複数のカメラ間での人物追跡においては,追跡に失敗することが多い.筆者らのグループはこれまで照明光の変化に対応するため,シーン全体の色の平均値を用いて照明変動を補正し,変動に強い状態推定手法であるパーティクルフィルタを用いて人物追跡する方法を提案してきた.しかし,この手法には映像にハイライトが含まれていると追跡精度が落ちるといった問題があった.本研究では高輝度領域とその周辺画素にマスク画像を作成しマスク部分を平均値算出処理から除外することでハイライトを除去する方法を提案する.照明変動環境下での人物追跡実験を行った結果,ハイライトを除去しない場合の追跡成功率は平均91.9%,ハイライトを除去した場合の追跡成功率は94.1%となり,追跡精度の向上が確認できた.また,シーンの背景の色分布が変化した場合にも追跡できるか確認する実験を行い,平均96.9%の追跡精度で追跡できることがわかった.

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© 2017 一般社団法人 日本色彩学会
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