2019 年 43 巻 3+ 号 p. 135-
幼児の自由画の使用色や構図,モチーフには性差があるが,色や構図はモチーフの影響を受ける可能性があり,技能を要する描画表現には個人差が大きい.そこで色シール作品から幼児の性差による平面表現の特徴を明らかにし,今後の造形活動の指導につなげることを研究の目的とする.
幼稚園等の4・5歳児クラス134人(男児78,女児54)を対象とし,保育室で集団で実施した.課題は4×4の16枠を印刷した用紙に,2色の円形シールを貼る平面構成課題,2種類(青・ピンク,青・黄)であった.シールは各色5枚を配付し,使用枚数は自由とした.最後に青・ピンク・黄のうちの好きな色を尋ねた.
シールを枠外に貼った幼児を除く88人(男児53,女児35)について男女比較を行った.好きな色は,男児は青,女児はピンクが多く,先行研究と共通性がみられた.しかし,課題中の各色の使用量には性差がなかった.シールの配置(構図)については対称性(線対称・点対称)には性差は見られなかったが,男児で中央4枠を全て埋める傾向が強く,男児のモチーフを強調する自由画との共通性がうかがえた.