日本色彩学会誌
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日本色彩学会第50回全国大会[東京]ʼ19 発表論文集
異なる照度における色差の属性判別
林 涼介森野 晃司東 吉彦
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2019 年 43 巻 3+ 号 p. 159-

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抄録

印刷物の品質検査や色調評価には標準観察条件が用いられ,2000lx±250lxの照度が推奨されているが,そのような高い照度は日常生活では稀で,ほとんどは1000lx未満である.本研究では,印刷物の色評価に,2000lxという高い照度が必要なのかを検証した.

我々は,500lx,1000lx,2000lxの3段階の照度条件で,色差の属性(色相,明度,彩度)に対する判別能力を調べた.被験者は色相,明度,彩度のいずれかが異なる2つの色票を観察し,それらのどれが違うかを判断して回答した.各照度条件下で,赤,黄,緑,青,紫の5つの色相ごとに,6種類の色票対を含む合計30種類のカードに対する判断を3回繰り返した.実験には,被験者として20代男女15名の学生が参加した.

各照度条件における被験者の回答より正答率を求め,全被験者による平均を求めた.3つの照度条件を比較すると,傾向に大差はなく,正答率でも照度による違いはなかった.また,全ての照度条件で,青の正答率が最も低く,赤と黄の正答率が高かった.

結論として,今回用いた3段階の照度条件では,照度による色差の属性判別への影響はほとんどないと考えられる.

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© 2019 一般社団法人 日本色彩学会
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