2019 年 43 巻 3+ 号 p. 183-
本研究では香りに対する調和色を用いて,香りの分類を行うことを目的とした.方法については,若田・齋藤(2018)と同様である為,主要な部分のみを記載する.香りは予備実験を行い日常でよく用いられる香りを30刺激とし,色はPCCSにおける12トーン,12色相,無彩色の計25刺激を用いた.香りを1つずつ提示し,20形容詞対で構成されたSD法によって印象評価を行った後,それぞれに調和,不調和なトーンおよび色相の4色の選択をした.実験には計65名が参加した.香りに対するトーンおよび無彩色の調和色の選択率と色相の調和色の選択率に対してそれぞれクラスター分析を用いて香りの分類を行った.その結果,トーンおよび無彩色では7クラスター,色相では6クラスターが得られた.さらにそれらのクラスターごとに香りの印象を重ねたところ,全てのクラスターにおいてではないが,色を変数として分類した香りに共通の印象がもたれていることが明らかになった.また,トーンと色相の双方に共通して調和色にまとまりが見られる香りは,印象が共通しやすいことが示唆された.