日本色彩学会誌
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日本色彩学会第51 回全国大会カラーポッド[京都]’20 発表論文集
ディスプレイ個体差やユーザー個人差を考慮した色覚バリアフリー環境の構築
張 宇航篠田 博之
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2020 年 44 巻 3+ 号 p. 11-

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抄録

色覚異常者の割合は全世界で男性の約5%,女性の約0.5%と言われている.色覚異常者はある色の組み合わせが弁別できず,日常生活において様々な問題を抱えている.これまでBrettelらは,LMS色空間の色を混同色線方向に沿ってある平面へ射影することで2色覚者が見る色をシミュレートする方法を提案している.したがってこれらの対応関係をRGB色空間上で表現できれば,色覚異常者の混同色を検知して色強調などの対応が可能となる.その際,LMS色空間とRGB色空間の間の色変換はXYZ色空間を経由するため,XYZ色空間とRGB色空間の間の関係を事前に得ておく必要があるが,多くのユーザに測色機器を用いたディスプレイキャリブレーションを行うことは現実的ではない.本研究では,ディスプレイRGB色空間に,直接,ユーザー個人の混同色線方向あるいはLMS軸方向と色覚異常強度を求めることにより,測色機器によるキャリブレーションを回避し,ディスプレイ個体差やユーザー個人差を考慮した色覚バリアフリー環境を実現することである.

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© 2020 一般社団法人 日本色彩学会
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