日本歯科医学教育学会雑誌
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活動報告
私立歯科大学17校における院内感染対策教育と職業感染サーベイランスについての5年間の調査報告
松本 和浩森田 浩光宮地 斉安田 順一小笠原 正川口 浩司井野 智水谷 太尊石垣 佳希山口 秀紀米原 啓之代田 達夫髙野 正行鈴木 正二板橋 仁八重柏 隆永易 裕樹石川 博之三浦 廣行
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2021 年 37 巻 1 号 p. 24-31

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抄録

抄録 日本私立歯科大学協会附属病院感染対策協議会では, 加盟17大学において, 2012年度から2016年度における歯学部学生, 臨床実習生および研修歯科医に対する院内感染対策についての講義時間, 病院職員に対する院内感染対策研修会の回数, 職業感染 (針刺し・切創・粘膜曝露) 発生件数について調査・集計を行った.

 結果として, 学生および臨床実習生の講義時間は, 年度ごとの有意差はないものの2016年度までに増加傾向を示す一方で, 研修歯科医の講義時間および病院職員への院内感染対策研修会の回数に変化はなかった.

 針刺し・切創・粘膜曝露発生についての職種別の傾向としては, 臨床実習生に減少傾向を認めた一方で, 研修歯科医, 歯科医師, 歯科衛生士, 看護師, その他病院職員等については明らかな減少傾向を認めなかった. なお, 臨床実習生の講義時間と針刺し・切創・粘膜曝露発生件数との間には負の相関がみられた (相関係数 : ρ=−0.40).

 以上の結果から, 講義時間と針刺し・切創・粘膜曝露発生件数との間には負の相関があることが明らかとなったため, 協議会を介した大学間での情報共有・適正な講義時間の設定の必要性が示唆された. 今後は教育方法・内容や習熟度, さらには針刺し・切創・粘膜曝露発生の状況・受傷度やその後の対応についても詳細な調査を行うことが必要であることが示唆された.

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