日本歯科医学教育学会雑誌
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調査報告
歯科大学保健室への外国人留学生の受診行動の特性―日本人学生との比較―
元根 正晴橋本 正則錦織 良山中 武志
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2023 年 39 巻 3 号 p. 147-151

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抄録

抄録 2021年度1年間において,大阪歯科大学医療保健学部保健室を受診した学生(外国人留学生延べ13名および日本人学生延べ78名)の受診理由と背景因子(年齢,性別,Body Mass Index(BMI))との関連を統計的に解析した.保健室受診学生および全在籍学生ともに,外国人留学生のほうが日本人学生よりも有意に男性比率が高かったが,年齢およびBMIには有意差を認めなかった.受診理由疾患としては,日本人学生では,メンタル不調,起立性低血圧,脱水症,感染症の順に多かった.一方,外国人留学生は,外傷と感染症が多かった.背景因子の影響として,日本人男性に外傷が多く,日本人女性に起立性低血圧が多くみられた.一方,外国人留学生に多くみられた外傷や感染症では,男女差は認めなかった.外国人留学生と日本人学生とで,男女比,感染症有病者率およびメンタル不調有病者率が独立して有意に異なっていた.すなわち感染症有病者率は,外国人留学生において有意に高く,メンタル不調有病者率は,日本人学生において有意に高かった.外国人留学生の感染症予防策に関する知識不足やメンタル不調に対する相談の躊躇などがこの結果の原因であると考えられた.将来的には,感染症に関する知識不足やメンタル不調に対する受診の躊躇などを改善する方策を検討することが望まれる.

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