抄録 近年,学習者の臨床能力を開発するために,ビジュアルアートを用いた対話型鑑賞(Visual Thinking Strategies:VTS)が注目を集めている.本学においてもVTSを応用するために,ファシリテータ養成を目的としたワークショップを開催した.その概要について報告する.
ワークショップの参加者は,日本歯科大学生命歯学部および日本歯科大学附属病院所属の教員20名である.ワークショップでは,VTSの概要解説,スモールグループによるVTSのファシリテータの体験や振り返りなどを行った.最後にアンケートを実施し,自由記載内容については,内容分析を行った.
アンケートの結果,VTSが学生の学びに貢献しそうな項目として,「観察力」「他者の意見を理解する」「分析的思考」や「多様性を受け入れる」が多く選択された.内容分析の結果,3つのサブグラフが抽出され,それぞれを「VTSへの期待」「視点の多様性」「ファシリテートの理解と不安」とした.
本ワークショップを開催した結果,VTSのファシリテートにはまだ不安を抱く参加者が多く認められたものの,プロフェッショナリズム涵養における教育効果に対しては多くの参加者が自覚していた.今後,VTSを歯学教育に導入していくためにも,ワークショップ内容を改善し,継続してVTSファシリテータの養成を行う必要があると考える.
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