環境化学
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ポリクロロジベンゾチオフェン (PCDTs) の検出, 光分解性と内分泌攪乱作用の可能性の検討
中井 智司Maria P. ESPINO野村 祐吾細見 正明
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2004 年 14 巻 4 号 p. 835-844

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抄録

本研究では, わが国の環境試料のポリクロロジベンゾチオフェン (PCDTs) を分析し, PCDTsのレベルを明らかにすると共に, PCDTsのAhレセプターに対する結合能や光分解性を評価した。PCDTsは, 焼却飛灰や土壌において検出されたが, その濃度はPCDDsやPCDFsよりも低かった。一方, Ahイムノアッセイキットを用いて2, 3, 7, 8-位に塩素を有する5種のPCDTsのAhレセプターへの結合力を評価した結果, 2, 3, 7, 8-TeCDT, 1, 2, 3, 7, 8-PeCDT, 1, 2, 3, 7, 8, 9-HxCDT, 1, 2, 3, 4, 7, 8, 9-HpCDTにAhレセプターとの結合能が認められ, PCDTsはダイオキシン類様の内分泌攪乱作用を引き起こす可能性が明らかとなった。PCDTsは脱塩素化を伴って分解されたが, PCDTsの分解速度はPCDFsよりも小さく, PCDTsはPCDFsよりも光に対して安定であることが示された。

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© 日本環境化学会
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