2018 年 25 巻 2 号 p. 92-95
関節面の整復を要するAO type 13-C2,C3の上腕骨遠位端骨折に対する骨接合術では,良好な術野を得ることが不可欠であり,肘頭骨切りアプローチが行われている.Morreyらは肘筋温存肘頭骨切りアプローチを報告しており,肘筋機能を温存できる利点がある.われわれは上腕骨遠位端骨折に対して同アプローチを用いて骨接合術を行った4症例を対象に,臨床成績・画像評価を行った.全例で肘頭骨切り部・骨折部の癒合が得られ,術後成績は良好であった.肘筋温存の利点として,肘関節での動的・内反安定性に寄与する,肘関節周囲軟部組織欠損に対する筋弁として使用できる,肘頭骨切り位置の決定が容易になる,肘筋血流の温存による骨癒合の促進等がある.一方,肘筋筋膜や筋体に損傷がある症例では,骨切り位置を誤認する可能性があり注意を要する.本アプローチは肘筋機能を温存できる有用なアプローチである.