抄録
上腕三頭筋腱断裂は腱断裂の中でも比較的稀な病態であり,関節リウマチ・慢性腎不全・ステロイド内服・ステロイド局注・上肢を主に使うスポーツなどにより発生する例の報告が散見される.今回我々は比較的稀な上腕三頭筋腱断裂を経験したので報告する.症例は51歳,男性である.柔道歴30年,現在は柔道の指導者である.柔道練習中に左肘に違和感を覚えた翌日のウエイトリフティング中に轢音とともに左肘の疼痛が出現し(受傷時のアームポジションなどの詳細は不明),翌日当院を受診した.初診時,肘頭近位部に陥凹を認めており完全伸展は不可能であった.MRI,エコーにて完全断裂を認めたため手術を施行した.術後7か月現在経過良好である.上腕三頭筋腱の裂離タイプにおける手術方法として骨孔法とアンカー法があるが,今回我々はアンカー法を選択した.手術方法に関して文献的考察を加えて検討する.