抄録
当院で手術治療を行った高齢者上腕骨通顆骨折の内固定方法の違いによる治療成績について検討した.対象は70歳以上の上腕骨通顆骨折15例15肢,平均年齢82歳(70-94歳),術後平均観察期間は7.9か月(3-18か月)であった.外側プレート固定と内側スクリュー固定(SP)群5例,両側プレート固定(DP)群10例で,SP群でスクリューの緩み1例,DP群で偽関節1例,尺骨神経障害を2例に認めた.関節可動域や術後矯正損失の程度に有意差はなかった.上腕骨遠位骨幹部の皮質骨厚cortico-medullar index(CMI)はDP群で小さい傾向にあったが,有意差はなかった.高齢者上腕骨通顆骨折は適切な手術手技により,侵襲の大きいDP法を行わずとも,SP法でもDP法と同等な治療成績が得られた.CMIは骨質の評価に有用である可能性が示唆された.